Dockerコンテナ環境でmanコマンドを使えない問題を解決する方法
はじめに
飽きずに毎日Bashやシェルスクリプト関連の記事を書いているわけですが、
記事の内容が本当に正しいのかを確認するためにDockerコンテナ環境内で動作を確認しています。
僕のMac環境は随分汚れてしまっているので、正しい動作を確認するためにはクリーンな環境が必要なわけです。
執筆の合間にBashの正しい挙動はどう定義されているのかを書くにするために man
コマンドを実行したくなることもあるのですが、Dockerコンテナ内で man bash
を実行してもマニュアルが確認できません。
コンテナイメージのサイズが大きくなってしまいますが、事前にインストールしておこうと思いました。
検証環境
いつも執筆の際に利用しているディストリビューションは CentOS です。 ( 未だにCentOS なので、いい加減Ubuntuあたりに移行したい。 )
大体 docker run --rm -it centos:centos7 bash
を実行して、検証環境を立ち上げています。
$ cat /etc/os-release | head -n 1
NAME="CentOS Linux"
$ uname -moi
x86_64 x86_64 GNU/Linux
$ bash -version | head -n 1
GNU bash, version 4.2.46(2)-release (x86_64-redhat-linux-gnu)
man
コマンドをインストールしてはみるが...
CentOSのパッケージ管理ツールといえば YUM です。yum
コマンドで man
をインストールします。
$ yum install man -y
$ type man
man is /usr/bin/man
正しくインストールされたのを確認し、次のステップへ。
$ man bash
No manual entry for bash
Bashのmanページデータがインストールされていないようなので、Bashを再インストールします。
(インストールしなおせば、man情報を含んでインストールされるはずです。)
$ yum reinstall -y bash
manページデータがインストールされたはずなので再度Bashのマニュアルを確認してみます。
$ man bash
No manual entry for bash
何故かマニュアルが引けません。
Dockerコンテナ内のYUMはマニュアルをインストールしない
原因はYUMの設定です。
/etc/yum.conf
を覗いてみます。
# 先頭15行を表示
$ cat /etc/yum.conf | head -n 15
[main]
cachedir=/var/cache/yum/$basearch/$releasever
keepcache=0
debuglevel=2
logfile=/var/log/yum.log
exactarch=1
obsoletes=1
gpgcheck=1
plugins=1
installonly_limit=5
bugtracker_url=http://bugs.centos.org/set_project.php?project_id=23&ref=http://bugs.centos.org/bug_report_page.php?category=yum
distroverpkg=centos-release
override_install_langs=en_US.utf8
tsflags=nodocs
一番下の設定である tsflags=nodocs が原因です。 nodocs とあるように、このフラグが設定されていることでmanページデータがインストールされません。
これに対処する方法は2つあります。
対処法1: /etc/yum.conf
ファイルを書き換える
原因は /etc/yum.conf
ファイルなので、該当箇所をコメントして無効化します。
$ sed 's/^tsflags=/#\0/' -i /etc/yum.conf
$ cat /etc/yum.conf | grep 'tsflags'
#tsflags=nodocs
無効化したあとは、Bashを再インストールします。
$ yum reinstall -y bash
マニュアルを確認してみます。
$ man bash | head -n 15
BASH(1) General Commands Manual BASH(1)
NAME
bash - GNU Bourne-Again SHell
SYNOPSIS
bash [options] [file]
COPYRIGHT
Bash is Copyright (C) 1989-2011 by the Free Software Foundation, Inc.
DESCRIPTION
Bash is an sh-compatible command language interpreter that executes commands read from the standard input or from a file. Bash also incorporates useful
対処法2: 一時的に nodocs を無効化するオプションを付けてインストールする
yum
コマンドのコマンドライン引数で一時的に /etc/yum.conf
の任意のオプションを上書きしてやることができます。
$ yum install -y man
$ yum reinstall --setopt=tsflags='' -y bash
マニュアルを確認してみます。
$ man bash | head -n 15
BASH(1) General Commands Manual BASH(1)
NAME
bash - GNU Bourne-Again SHell
SYNOPSIS
bash [options] [file]
COPYRIGHT
Bash is Copyright (C) 1989-2011 by the Free Software Foundation, Inc.
DESCRIPTION
Bash is an sh-compatible command language interpreter that executes commands read from the standard input or from a file. Bash also incorporates useful
ひとこと
Dockerコンテナ内にmanページがインストールされないようになっているのは、配布を目的としたDockerイメージを軽量化するための設定としては正しいと言えます。
ただ、僕のようにUnixコマンドの学習環境としてDockerを利用している場合にはmanページがインストールされていると非常に便利です。
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